両親はすでに出勤し、
朝食はみや子が作っている。
静香は黙って横で見ていたが……
「みーちゃん」
「毎日頑張らなくてもいいんだよ?」
「たまにはあたしが作るし」
そう言って意気込んだ静香だが……
「大丈夫よ」
「私将来あなたの妻に……」
「なるかもしれないのに……」
「これくらいできなきゃ失格よ」
「その代わりにあーんして欲しいの」
みや子は甘えてくる。
「しょうがないな……」
「お皿とかスプーン、フォークを出すね」
「ええ、ありがとう」
「あなた……」
また最後にみや子は小声で呟く。
「みーちゃんのベーコンエッグと、」
「サラダとみそ汁大好き!」
そう言って後ろから、
抱きつく静香。
「もう……危ないわよ」
「風紀が乱れているので、」
「静香さんは減点です」
「えー!?」
「困ったな」
「もう何百点溜まってるの?」
「さあね」
「千点は超えてるんじゃない?」
「もう退学ね」
クスクスと笑うみや子。
「最悪だ」
「どうしたら許してくれますか?」
困り顔で静香は許しを請う。
「そうね」
「風紀委員である私に、」
「おねだりしてみて?」
「どうやって!?」
「簡単よ」
「可愛く言うの……」
「難しいよ……」
「じゃあ退学処分ね」
「さようなら静香さん」
「わかったよ」
「みや子、許して……」
涙目でお願いする静香。
「っ……」
「許してあげましょう」
「全部帳消しよ」
危うく理性が、
飛ぶところだったわ。
無自覚でやっているのだから危険ね……
バスケ部やクラスで、
モテてるわけだわ。
みや子は内心葛藤していた。
「ありがとう」
「みーちゃん大好きだよ」
後ろからみや子を、
抱きしめながら頬にキスする静香。
「私たち……」
「いつからキスするように、」
「なったのかしら……」
「え?」
「みーちゃんがして欲しいって、」
「言ったの忘れた?」
「幼稚園生の時にさ」
そもそも付き合ってないのに、
キスはどうなんだ。
「最初は頬だったのに……」
「いつの間にか小学生の頃には……」
「口にしなきゃ嫌だって泣いてたじゃん」
「本当にあの時は困ったよ」
「そもそも付き合ってないのに……」
「キスしまくってるのって変だよ」
静香の疑問はもっともである。
「もうしすぎて麻痺してるのかもね」
「だって静香とのキスが幸せなんだもの……」
「まさかクラスメイトにも、」
「キスしてないでしょうね!?」
「当たり前じゃん!」
「そんなの危険人物だよ」
「みーちゃんとしかしたことないよ」
「信じてくれないの?」
上目遣いの攻撃がみや子に直撃する。
「も、もちろん」
「信じてるわよ」
「ただ静香は優しすぎるから……」
「利用されてないか心配で……」
なぜか慌て始める。
「みんな優しいから平気だね」
「さすがに友達とはキスしないよ」
「そんなこといったら、」
「みーちゃんも人気じゃない!」
話をすり替え始める。
「私はそもそも静香以外に興味ないわ」
「告白されても心が動かないの」
「後輩や先輩たちに言われてもね……」
「本当にみーちゃんは、」
「あたしのこと大好きだね」
「当たり前でしょう?」
「さあ早くご飯食べましょう」
「「いただきます」」
「やっぱりみーちゃんの朝食は最高だね」
ごはん、みそ汁、ベーコンエッグ、
サラダという健康的な食事だ。
「ほら頑張ったご褒美に……」
「食べさせてくれる?」
「もちろん」
「はい、みーちゃん」
「あーんしてください!」
「美味しいわ」
「私を甘えさせてくれるのは……」
「世界であなただけよ」
「大げさな」
「お兄さんに甘えればいいじゃない!」
「兄には甘えると言うよりも……」
「相談ね」
「両親は論外だし……」
「可哀想だからあたしに、」
「トコトン甘えなさい!」
「ありがとう」
「静香」
「嬉しいわ」
「いえいえ」
「毎日みーちゃんのご飯が、」
「食べれるのも嬉しいし」
「はい、静香あーん」
「あーん……」
「ありがとう」
「あたしはあーんして、」
「貰うタイプじゃないよ」
「そんなことないわ」
「あとお昼休みも一緒に、」
「ご飯食べましょう」
「もちろん」
「校門に近づいたら今日も別れる?」
「ええ……」
「残念だけど……」
「皆の前では真面目な風紀委員でいないとね」
「わかったよ」
「キリッとしたみや子もかっこいいし」
「ありがとう」
「食べ終わったら着替えてきて」
「片付けは私がするわ」
「そうだね」
「あと少しで食べ終わるよ」
完食した静香。
「ごちそうさま」
「着替えてくるね」
食器をシンクに置き、二階に駆け上がる静香。
「お粗末さまでした」
「今日も理性が持つかしら……」
「本当に天性の人たらしだわ……」
無意識のうちに眉間を押さえる。
「あれは絶対にモテてるわね……」
ため息をつくみや子であった。
それから十分後。
「みーちゃん片付け終わった?」
静香が二階から下りてきた。
「もう終わったわよ」
「さすがだね」
「みーちゃんは何でもできるね」
「そろそろ行こうか!」
二人で家を出て鍵を閉める静香。
「そうね」
「あとあなただって成績良いじゃない」
「みーちゃんほどじゃないよ」
「私スポーツは全然ダメだから……」
「なんでも上手くできる静香が羨ましいわ」
手が触れ合う距離感で歩く。
「手芸とかは……」
「みーちゃんのほうが上手だよ」
「あと料理もね」
「家庭的でいいと思う」
「ありがとう」
「毎日修行してたからね」
「みーちゃん健気だ」
「こんな良い人を奥さんに、」
「貰える人は幸せ者だね」
「それは……」
「あなたのためだから……」
小声が呟くが……
タイミング悪く車が走ってきた。
「え?」
「風と車で聞こえなかった」
「何か言った?」
「何でも無いわ」
河川敷を二人で歩きながら、
みや子はしらばっくれる。
「そっかー」
「じゃあ校門近くまで手つなぐ?」
「やめておきましょう」
「噂されるわ」
「わかった」
「みーちゃんがいうなら……」
「帰ってから握れるでしょう?」
「そうだね」
「今日も一日頑張ろうか!」
「ええ、静香」
みや子は微笑むが……
目だけがなぜか笑っていなかった。
最後に
いつもお読み頂き、ありがとうございます。
第一章です!
みや子と静香の関係はどうなっていくのか。
見届けてくださいね!
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