雨上がり。それでも、三人でいたい・第一章:二人の朝食

雨上がり、それでも三人でいたい

両親はすでに出勤し、

朝食はみや子が作っている。

静香は黙って横で見ていたが……

「みーちゃん」

「毎日頑張らなくてもいいんだよ?」

「たまにはあたしが作るし」

そう言って意気込んだ静香だが……

「大丈夫よ」

「私将来あなたの妻に……」

「なるかもしれないのに……」

「これくらいできなきゃ失格よ」

「その代わりにあーんして欲しいの」

みや子は甘えてくる。

「しょうがないな……」

「お皿とかスプーン、フォークを出すね」

「ええ、ありがとう」

「あなた……」

また最後にみや子は小声で呟く。

「みーちゃんのベーコンエッグと、」

「サラダとみそ汁大好き!」

そう言って後ろから、

抱きつく静香。

「もう……危ないわよ」

「風紀が乱れているので、」

「静香さんは減点です」

「えー!?」

「困ったな」

「もう何百点溜まってるの?」

「さあね」

「千点は超えてるんじゃない?」

「もう退学ね」

クスクスと笑うみや子。

「最悪だ」

「どうしたら許してくれますか?」

困り顔で静香は許しを請う。

「そうね」

「風紀委員である私に、」

「おねだりしてみて?」

「どうやって!?」


「簡単よ」

「可愛く言うの……」

「難しいよ……」

「じゃあ退学処分ね」

「さようなら静香さん」

「わかったよ」

「みや子、許して……」

涙目でお願いする静香。

「っ……」

「許してあげましょう」

「全部帳消しよ」

危うく理性が、

飛ぶところだったわ。

無自覚でやっているのだから危険ね……

バスケ部やクラスで、

モテてるわけだわ。

みや子は内心葛藤していた。

「ありがとう」

「みーちゃん大好きだよ」

後ろからみや子を、

抱きしめながら頬にキスする静香。

「私たち……」

「いつからキスするように、」

「なったのかしら……」

「え?」

「みーちゃんがして欲しいって、」

「言ったの忘れた?」

「幼稚園生の時にさ」

そもそも付き合ってないのに、

キスはどうなんだ。

「最初は頬だったのに……」

「いつの間にか小学生の頃には……」

「口にしなきゃ嫌だって泣いてたじゃん」

「本当にあの時は困ったよ」

「そもそも付き合ってないのに……」

「キスしまくってるのって変だよ」
静香の疑問はもっともである。

「もうしすぎて麻痺してるのかもね」

「だって静香とのキスが幸せなんだもの……」

「まさかクラスメイトにも、」

「キスしてないでしょうね!?」

「当たり前じゃん!」

「そんなの危険人物だよ」

「みーちゃんとしかしたことないよ」

「信じてくれないの?」

上目遣いの攻撃がみや子に直撃する。

「も、もちろん」

「信じてるわよ」

「ただ静香は優しすぎるから……」

「利用されてないか心配で……」

なぜか慌て始める。

「みんな優しいから平気だね」

「さすがに友達とはキスしないよ」

「そんなこといったら、」

「みーちゃんも人気じゃない!」

話をすり替え始める。

「私はそもそも静香以外に興味ないわ」

「告白されても心が動かないの」

「後輩や先輩たちに言われてもね……」

「本当にみーちゃんは、」

「あたしのこと大好きだね」

「当たり前でしょう?」

「さあ早くご飯食べましょう」

「「いただきます」」

「やっぱりみーちゃんの朝食は最高だね」

ごはん、みそ汁、ベーコンエッグ、

サラダという健康的な食事だ。

「ほら頑張ったご褒美に……」

「食べさせてくれる?」

「もちろん」

「はい、みーちゃん」

「あーんしてください!」

「美味しいわ」

「私を甘えさせてくれるのは……」

「世界であなただけよ」

「大げさな」

「お兄さんに甘えればいいじゃない!」

「兄には甘えると言うよりも……」

「相談ね」
「両親は論外だし……」

「可哀想だからあたしに、」

「トコトン甘えなさい!」

「ありがとう」

「静香」

「嬉しいわ」

「いえいえ」

「毎日みーちゃんのご飯が、」

「食べれるのも嬉しいし」

「はい、静香あーん」

「あーん……」

「ありがとう」

「あたしはあーんして、」

「貰うタイプじゃないよ」

「そんなことないわ」

「あとお昼休みも一緒に、」

「ご飯食べましょう」

「もちろん」

「校門に近づいたら今日も別れる?」

「ええ……」

「残念だけど……」

「皆の前では真面目な風紀委員でいないとね」

「わかったよ」

「キリッとしたみや子もかっこいいし」

「ありがとう」

「食べ終わったら着替えてきて」

「片付けは私がするわ」

「そうだね」

「あと少しで食べ終わるよ」

完食した静香。

「ごちそうさま」

「着替えてくるね」

食器をシンクに置き、二階に駆け上がる静香。

「お粗末さまでした」

「今日も理性が持つかしら……」

「本当に天性の人たらしだわ……」

無意識のうちに眉間を押さえる。

「あれは絶対にモテてるわね……」

ため息をつくみや子であった。

それから十分後。

「みーちゃん片付け終わった?」

静香が二階から下りてきた。

「もう終わったわよ」

「さすがだね」

「みーちゃんは何でもできるね」

「そろそろ行こうか!」

二人で家を出て鍵を閉める静香。

「そうね」

「あとあなただって成績良いじゃない」

「みーちゃんほどじゃないよ」

「私スポーツは全然ダメだから……」

「なんでも上手くできる静香が羨ましいわ」

手が触れ合う距離感で歩く。

「手芸とかは……」

「みーちゃんのほうが上手だよ」

「あと料理もね」

「家庭的でいいと思う」

「ありがとう」

「毎日修行してたからね」

「みーちゃん健気だ」

「こんな良い人を奥さんに、」

「貰える人は幸せ者だね」

「それは……」

「あなたのためだから……」

小声が呟くが……

タイミング悪く車が走ってきた。

「え?」

「風と車で聞こえなかった」

「何か言った?」

「何でも無いわ」

河川敷を二人で歩きながら、

みや子はしらばっくれる。

「そっかー」

「じゃあ校門近くまで手つなぐ?」

「やめておきましょう」

「噂されるわ」

「わかった」

「みーちゃんがいうなら……」

「帰ってから握れるでしょう?」

「そうだね」
「今日も一日頑張ろうか!」

「ええ、静香」

みや子は微笑むが……

目だけがなぜか笑っていなかった。

最後に

いつもお読み頂き、ありがとうございます。

第一章です!

みや子と静香の関係はどうなっていくのか。

見届けてくださいね!

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