晴兄の手紙を全て話した冴香。
希は黙って手をつなぎ聞いていた。
「これが全部よ」
「晴兄のおかげで、私は希に向き合えたの」
「晴兄の手紙がなかったら、」
「永遠に逃げ続けるつもりだったわ」
震えながら告白する冴香。
「あと晴兄には作家になる夢を諦めるなら、」
「婚約破棄する!大嫌いって……」
「あれだけ酷いこといったのに……」
「手紙の内容は良いことしか、」
「書いてなかったわ……」
「冴香辛いのに話してくれてありがとう」
「晴兄は本当に良い人ね」
「冴香は愛されてて羨ましいわ」
希は笑顔で優しく冴香の頬を撫でる。
「私は晴兄のことをここまで、」
「話した人は希が始めてよ」
「今までは弱さを見せないように努力してきた」
冴香はついに本音をさらけ出す。
「あれ?月代先輩は何で知ってたの?」
希は疑問を口にする。
「月代は元々、親同士が仲良しで、」
「晴兄の親とも親交があったのよ」
「それで知っていたの」
冴香は慌てて説明する。
「ふふ、慌てちゃって可愛い」
「大丈夫よ」
「冴香のことそれくらいで嫌いにならないわ」
「ねえ、もっと冴香の本音を聞かせてよ」
「あたしは全部聞きたいわ」
「ここにはあたしたちしかいないし……」
「ね?冴香」
再び手を握りしめて冴香に優しくささやく希。
「ええ、希」
「頑張って話してみるわね」
「だから聞いてくれる?」
不安そうに言う冴香。
「もちろんよ」
「大切な冴香のためだもの」
「どんなあなたでも受け入れるわ」
そう言いつつ冴香の頬にキスをする希。
「私ね」
「本音をいうと学園長になれるか不安なの」
「お父様みたいに賢くないし」
「お母様のような経営手腕もない」
「私は良い人間じゃないし」
「人の上に立って導けるかもわからない」
「自分にどんな価値があるのか……」
「全然分からなかったの」
「そしてお父様も、晴兄も死んでしまった」
「お母様とはお互いに、」
「忙しくて疎遠になりかけてる」
「もう全部滅茶苦茶なのよ」
「私は皆みたいに立派になれない」
「学園長にもきっとなれないわ」
「他の人が継いだ方が上手くできる」
「最近そんなことばかり考えてるの」
ため息をつく冴香。
すかさず希は冴香を抱きしめる。
「何言ってるの!」
「冴香ならできるわ」
「立派な学園長になれるわよ」
「これまで必死に努力してきたじゃない」
「あなた自身が夢を諦めていいの?」
「晴兄だって応援してくれてたのに……」
「あたしは冴香のために全てを捧げるわ」
「何度でも言うけど」
「冴香が学園長になるために、」
「隣で支え続けても恥ずかしくない人間になる」
「もうあたしの人生は、」
「全部冴香のものなのよ」
「たしかに今のあたしは、」
「バカだし頼りないかもしれない!」
「でも冴香のためなら何だってできるわ」
「あなたが秘書になれって、」
「言うならそうするわ」
「そのためならどんな努力も惜しまない」
「元引きこもりをなめないでほしいわ」
「だから一人が不安なら一緒に叶えましょう」
「二人でならできるわ」
「あたしたちのことを笑う人がいるかもしれない」
「バカにしてくる人もね」
「それでも冴香一人が抱え込む必要はないの」
「一緒に笑われて、バカにされよう!」
「何度でも言うけど、」
「あたしは冴香を心から愛してるよ」
「冴香はあたしのことどう思ってる?」
涙を堪えながら希は言う。
「どうして?」
「そこまで私のことを愛してくれるの?」
「私は希に何もできていないわ」
「それどころか苦しめてるだけ……」
「もう自分の大切な人がいなくなるのは、」
「耐えられないのよ」
「お父様も晴兄もいなくなって……」
「今度は希と付き合っても、」
「いなくなるかもしれない」
「それが恐ろしくて仕方ないわ」
「もう一人は嫌なのよ」
「希と出会って自分を、」
「少しだけ好きになり始めてた」
「でも文化祭のあの日に希にキスされて……」
「全然嫌じゃなかったのに……」
「晴兄って縋りついた弱くてダメな自分に、」
「失望されると思ったから逃げたの」
「私は自分に自信がないの」
「学園長なんてとんだ夢だわ」
「自分が生きるのに精一杯なのに」
「希が羨ましいわ」
「いつも真っ直ぐで優しいから」
「たしかに希と一緒に暮らしたら楽しいでしょうね」
「でも私は醜さをさらけ出すのがまだ怖い……」
「あとあなたは強すぎる」
「それと同時に愛してるの」
「もう頭の中がぐちゃぐちゃよ」
「私どうしたらいいの?」
「あなたのことを好きになってもいいの?」
「失望しないと言いつつ、」
「いざ出て行ったら耐えられない」
「私が学園長になるために、」
「一緒に頑張ってくれる?」
ついに冴香は泣き始めて、希にすがりつく。
そんな冴香を希は優しく頭を撫でながら言う。
「当たり前でしょ」
「あたしは冴香のためなら何だってするわ」
「不安な気持ちを全部、」
「話してくれてありがとう」
「いつものかっこいい冴香」
「今の本音をぶちまけた冴香」
「両方あたしは大好きよ」
「あたしは絶対に冴香を裏切らないわ」
「ボロボロだったあたしを、」
「救ってくれた命の恩人を見捨てるものですか!」
「今度はあたしが全てをかけて、」
「冴香に恩返しする番よ」
「一緒に学園長になるために頑張りましょう」
「あたしたちなら良い学園にできるわ」
「経営手腕も今からお母様から学べばいいし」
「あたしも付属の大学で勉強するし」
「最愛のあなたのためだから辛くない」
「むしろあなたの夢を応援できるなら安いものよ」
「まだ不安なら言うね」
「冴香を一生かけて幸せにするわ」
「孤独な王女様」
「全部引っくるめてあなたを愛してるの」
すり傷だらけの膝をついてプロポーズする希。
「だからあたしと付き合ってください」
「もう先にキスしちゃったけど……」
「指輪もそのうち用意するわ」
希は宣言する。
「はい……よろしくお願いします……」
冴香はすっかり希に逆プロポーズされて、嬉しさで悶絶しながら答える。
最後に
冴香と希は無事に付き合いましたが、今後どうなるのか……
まだ誰にもわかりません。
二人ならきっと大丈夫。
続きは週一で更新していきます!
よろしくお願いします!

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