第三章:緊張の連続!まさかのデート開始!?

澪奈と菜月さん! 澪奈と菜月さん!

突然菜月さんとデートをすることになったよ!

意味が分からないな!

まさか勉強のご褒美?

「新垣」

「行きましょうか」

手をつないだまま二人は図書室から出て行き、

昇降口へと向かって歩き続ける。

「あの~……」

いくらなんでもずっと手を、

つないだままって……

緊張しすぎて無理……

「どうしたの?」

菜月はキョトンとした顔で、

澪奈を見つめてくる。

「いえ……」

「あなた」

「本当に大丈夫?」

「はい……」

図書室のあった二階から階段を下りて、

まっすぐ昇降口へ向かう。

「今日は私がエスコートするわ」

「まあデートするのは初めてだけど……」

「そ、そうなんですか!?」

やっぱり菜月さんは、

私に好意を持ってるの!?

しかも初めてのデートなのかな……

下駄箱で靴を出しながら、

澪奈は考え込んでいた。

「どうして……」

「私を誘ってくれたんですか?」

「菜月さんなら……」

「もっといい男」

「いい女を誘えるのにって?」

「心を読まないでください!」

「読んでないわ」

「顔に書いてあるのよ」

「あなた」

「意外とわかりやすいし」

「ぐっ……」

「何も言い返せない……」

「ふふふ」

「可愛いわね」

「新垣」

菜月はモデル顔負けの笑顔であった。

「え?」

百点満点の笑顔で話さないで……

「あ……」

菜月自身も無自覚に褒めていたことを、

今更気づいたのであった。

本来の目的を忘れていないか?

「と、とりあえず……」

「駅に向かうわよ!」

照れ隠しか声がうわずってしまう。

「はい!」

澪奈が返事をした瞬間であった。

後ろには……

「みおちゃん?」

「菜月ちゃんとどこ行くの?」

風花はショックのあまり鞄を落としてしまう。

「ふ、ふ、風花さん!?」

まずい、風花さんがなぜ……

どうしよう……

なんて言えば……

「あら、風花」

「どうしたの?」

「菜月ちゃん」

「二人とも手をつないで……」

「仲よさそうだね……」

「あわわ……」

風花さんから、

暗黒のオーラが出てないか?

気のせいだよね?

「ごめんなさい」

「今日約束してた?」

「ううん……」

「してないよ」

「じゃあ平気ね」

「行きましょうか」

「あなた……」

菜月は意味深な発言をする。

「はい……」

澪奈も返事をするが……

困惑し硬直した風花を置いて、

二人は昇降口から出て行った。

「風花さん」

「大丈夫でしょうか?」

「平気でしょう」

「別に約束はしてないし……」

「あなたは……」

「えへへ、これからデートですよ!」

「風花さんごめんなさいとか言うの?」

「言わないです……」

「私は面白みのない女だし」

「あなたは風花のような……」

「おっとりした雰囲気が好きなのよね?」

「……え?」

「私は……」

なぜか私はズキズキと胸が痛んだ……

風花さんへの罪悪感なのか?

それとも違う感情……

「わかりません」

「まあデート楽しみましょう」

「そういえばどこに?」

「ああ、それはね」

「内緒よ……」

駅に向かって歩きながら、

ボソボソと呟く。

「愛花さんは誘わないんですか?」

澪奈よ……

その発言は地雷だぞ……

「は?」

「なんで愛花が出てくるの?」

途端に不機嫌そうな顔になる。

「幼なじみですし」

「釣り合ってるじゃないですか」

よくあるドッキリ企画じゃないよね……

私は自信が無いのかも……

どうしてこんな美人が、

陰キャをデートに誘ってくれるのか……

「愛花は……」

「家族みたいなものよ」

「昔からずっと一緒でね」

「そうなんですか……」

「私はね」

「あなたに興味を持ったのよ」

「いけない?」

「いえ……」

「そんなことは……」

「煮え切らない態度ね」

「何か言いたいことがあるの?」

「菜月さん」

「怒りませんか?」

「ええ」

「怒らないわ」

「言ってみなさい」

「私のこと……」

「好きなんですか?」

「はぁーーー!?」

「いくらなんでも……」

「飛躍しすぎじゃない?」

クールな印象が一気になくなった。

「テスト勉強のしすぎで、」

「バカになってしまったの?」

「元から頭悪いですよ……」

「ごめんなさい」

「傷つけるつもりはなかったの」

「気分転換になるかなと思ってね」

「ずっと勉強してても……」

「疲れるでしょう?」

「はい……」

私はダメ人間で、

引きこもり陰キャなんだ……

「そんなに悲しい顔しないで」

澪奈の頬を優しく撫でて慰める。

「あなたは良く頑張ってるわ」

「諦めずにね」

「ありがとうございます……」

あっという間に駅に到着した。

「少しだけ遠出になるけど……」

「明日は土曜日だし」

「平気よね?」

「大丈夫です」

「うちはもう姉しかいないので……」

「厳しくありません」

「そうなのね……」

「遅くなりそうなら……」

「連絡入れればいいだけなので……」

「なら思いっきりデート」

「楽しみましょう」

「あなた!」

手を引きながら、

駅の改札を駆け足で、

通り抜けて電車に飛び乗る二人。

「危ないですよ!?」

「そう?」

「スリルあったでしょう?」

二人は車内の二人用の座席に座り、

夕焼けを眺める。

「綺麗ですね!」

「そうね」

菜月は夕焼けなど見ていなかった。

隣に座って嬉しそうな表情で、

夕焼けを眺める澪奈に、

言語化できない気持ちを抱えている。

「ねえ」

「あなた」

「何ですか?」

「今日はありがと……」

頬を赤く染めながら、

微笑むのであった。

「まだデート始まったばかりなのに……」

「おかしな人ですね」

「菜月さんは!」

菜月さん照れて可愛い……

お父さん、お母さん。

私はもうノンケ卒業するよ。

澪奈は亡き両親に誓う。

「あなたもね」

「こんなに幸せでいいのかな……」

「いいの」

「あなたの人生はこれからだし」

無意識のうちに菜月はほくそ笑む。

「菜月さん……」

「す……」

「あ、次の駅で乗り換えだから」

「降りましょうか」

これがお預けなのか……

「は、はい」

私……

今なんて言おうとしたんだろ……

そわそわとして落ち着かないよ……

二人は乗り換え駅から、

更に遠くへと向かっていく。

果たしてどこに向かっているのか。

まだ誰にもわからない。

最後に

もはや沼にはまり始めた菜月さん。

第四章は本格的なデート回です!

それでは次回もよろしくお願いします!

いつも読んでくださり、ありがとうございます!

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