第一章:二人だけの密会とかあり得ない!

澪奈と菜月さん! 澪奈と菜月さん!

あれから一週間が経過した。

私と風花さんは体育館裏で会うのが、

日課になりつつあった。

「ねえ」

「みおちゃん」

今の状況はおかしい!

なぜ私が風花さんに膝枕されているんだ?

しかもちゃっかり、

レジャーシートまで用意している。

「いつも頑張ってるね」

「良い子良い子してあげようか?」

見上げようにも反射して、

風花さんの顔がよくわからない。

恐らく笑っているのかな……

「は、はい……」

「お願いします」

もはや羞恥心に耐えられないが……

仕方が無い……

「はーい!」

「よしよし」

「毎日頑張っていて」

「本当に偉いね」

優しく私の頭を撫で始めた風花さん。

うぐぐ……

これは人を堕落させる効果がある。

「風花さん」

「大変じゃないですか?」

「全然大丈夫だよ~」

「私はね」

「みおちゃんを……」

「甘やかしてあげたいんだ」

あ、なんか柑橘系の良い匂いが……

ダメだ!

私はノンケなんだぞぉ……

「みおちゃんは、」

「好きな人とか……」

「できたことある?」

急に恋バナか!?

陽キャすごすぎる。

グイグイくるじゃないか!

「私は……」

「わかりません」

まあ嘘はついてないよね……

好きになった人は、二次元の女アイドルだったし……

「そうなんだ~」

「そういう風花さんは?」

「恋人とかいるのでは?」

「あー、みおちゃん」

「女の子にそんなこと聞くの?」

「ご、ごめんなさい」
「失礼でした……」

「ふふ」

「冗談だよ」

「今までいたことないよ」

「恋人とか……」

「作る暇なかったし」

「へぇ~」

「そうなんだ~」

何、優越感に浸っているんだ!

自らの愚かさを呪え!

風花さんに恋人がいないからって……

調子に乗るな!

「もしかして……」

「恋人いると思ったの?」

風花さんは私の髪の毛を、

わしゃわしゃしてくる。

「そ、そんなことないですよ!」

嘘がつけない。

すぐにバレてしまう。

「みおちゃんは……」

「可愛いね~」

風花の指が偶然、

澪奈の耳に当たってしまう。

「ひゃぃ!」

変な声が出てしまった。

耳、昔から弱いんだよな……

嫌われた?

頼む、風花さん嫌わないで……

「だ、大丈夫?」

「耳は嫌だったよね」

「ごめんなさい」

風花さんが落ち込んだ!?

この愚か者!女神様を傷つけるな!

ここは変なジョークでも言って……

いや、素直に平気だと伝えよう。

「風花さん!」

「大丈夫ですよ!」

「耳全然弱くないです!」

「そ、そうなの?」

「無理しないでね」

「私がストレス与えたら……」

「意味ないし」

「もう今日はやめておこうか?」

あー、この至福の時間が終ってしまう。

終わらないでほしい。

永遠に……

「はい……」

なぜはいと言った……

私の馬鹿たれ……

「お片付けしようか……」

風花さんも少し寂しそうな顔をしていた。

全て私が拒絶したせいだ。

あとで土下座しよう。

「レジャーシートまとめますね!」

「ありがとう~」

「それじゃあ戻ろっか!」

「はい!」

明日また甘えればいいか。

楽しみがあれば頑張れる!

二人は話しながら、校舎に戻っていくが……

体育館裏に隠れていた愛花がこっそり出てくる。

なぜか赤面し、口元を手で覆っていた。

「みお……」

「君は何をしているんだ?」

「やっぱり私の気持ちを……」

「伝えるべきだな」

「待っていてくれ」

「みお……」

愛しそうに澪奈を見つめる愛花。

トップ女優がしていい表情ではない。

「あら、愛花じゃない」

「どうしたの?」

菜月が平然とした表情で後ろから話しかける。

スパイなのか?

「菜月……」

「聞いていたのか……」

「ええ」

「何やら」

「気になる話が聞こえてきたから……」

「相談なんだが……」

「澪奈が誰を好きか」

「探りを入れて欲しいんだ」

「え?」

「なぜ私がそんなことを?」

「面倒ね」

「頼むよ」

「幼なじみだろ」

「君にしか頼めないんだ!」

「はぁ……」

「わかったわ」

「それで何をすればいいの?」

「ありがとう!!!」

「簡単さ」

「澪奈は付き合ってる人はいるのか?」

「好きな人はいるのか?」

「この二つだけさ」

「自分で聞けば良いんじゃないの?」

「それは……」

「何よ」

「笑顔で恋人います!」

「アハハ!とか言われるのがいやなの?」

菜月は愛花が、

言われたくないことを平然と言い放つ。

「探偵でも雇えば良いじゃない」

「それはダメだ!」

「卑怯すぎる」

「彼女のプライバシーも尊重したいし……」

「面倒くさいわね」

「じゃあ今度私が、」

「新垣を勉強会に誘ってみるわ」

「それとなく探りも入れてね」

「本当かい!?」

「ありがとう」

「君はやっぱり優しいね」

「はいはい」

「あなたは最高に……」

「ひねくれた幼なじみを持てて……」

「幸せね」

「もちろんさ」

「感謝しているよ」

「菜月」

「ええ」

「任せておいて」

「結果は保証できないけど……」

菜月は愛花を安心させるために言うが……

この女は自分が澪奈に沼ることを、

まだわかっていなかった。

澪奈はどうなってしまうのか……

最後に

すっかり澪奈は周囲の人間をたらし込み始めました。

菜月さんがどっぷりと澪奈の魅力に抗えずに、

沼り始めて暴走するのはもう少し先です!

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