あれから一週間が経過した。
私と風花さんは体育館裏で会うのが、
日課になりつつあった。
「ねえ」
「みおちゃん」
今の状況はおかしい!
なぜ私が風花さんに膝枕されているんだ?
しかもちゃっかり、
レジャーシートまで用意している。
「いつも頑張ってるね」
「良い子良い子してあげようか?」
見上げようにも反射して、
風花さんの顔がよくわからない。
恐らく笑っているのかな……
「は、はい……」
「お願いします」
もはや羞恥心に耐えられないが……
仕方が無い……
「はーい!」
「よしよし」
「毎日頑張っていて」
「本当に偉いね」
優しく私の頭を撫で始めた風花さん。
うぐぐ……
これは人を堕落させる効果がある。
「風花さん」
「大変じゃないですか?」
「全然大丈夫だよ~」
「私はね」
「みおちゃんを……」
「甘やかしてあげたいんだ」
あ、なんか柑橘系の良い匂いが……
ダメだ!
私はノンケなんだぞぉ……
「みおちゃんは、」
「好きな人とか……」
「できたことある?」
急に恋バナか!?
陽キャすごすぎる。
グイグイくるじゃないか!
「私は……」
「わかりません」
まあ嘘はついてないよね……
好きになった人は、二次元の女アイドルだったし……
「そうなんだ~」
「そういう風花さんは?」
「恋人とかいるのでは?」
「あー、みおちゃん」
「女の子にそんなこと聞くの?」
「ご、ごめんなさい」
「失礼でした……」
「ふふ」
「冗談だよ」
「今までいたことないよ」
「恋人とか……」
「作る暇なかったし」
「へぇ~」
「そうなんだ~」
何、優越感に浸っているんだ!
自らの愚かさを呪え!
風花さんに恋人がいないからって……
調子に乗るな!
「もしかして……」
「恋人いると思ったの?」
風花さんは私の髪の毛を、
わしゃわしゃしてくる。
「そ、そんなことないですよ!」
嘘がつけない。
すぐにバレてしまう。
「みおちゃんは……」
「可愛いね~」
風花の指が偶然、
澪奈の耳に当たってしまう。
「ひゃぃ!」
変な声が出てしまった。
耳、昔から弱いんだよな……
嫌われた?
頼む、風花さん嫌わないで……
「だ、大丈夫?」
「耳は嫌だったよね」
「ごめんなさい」
風花さんが落ち込んだ!?
この愚か者!女神様を傷つけるな!
ここは変なジョークでも言って……
いや、素直に平気だと伝えよう。
「風花さん!」
「大丈夫ですよ!」
「耳全然弱くないです!」
「そ、そうなの?」
「無理しないでね」
「私がストレス与えたら……」
「意味ないし」
「もう今日はやめておこうか?」
あー、この至福の時間が終ってしまう。
終わらないでほしい。
永遠に……
「はい……」
なぜはいと言った……
私の馬鹿たれ……
「お片付けしようか……」
風花さんも少し寂しそうな顔をしていた。
全て私が拒絶したせいだ。
あとで土下座しよう。
「レジャーシートまとめますね!」
「ありがとう~」
「それじゃあ戻ろっか!」
「はい!」
明日また甘えればいいか。
楽しみがあれば頑張れる!
二人は話しながら、校舎に戻っていくが……
体育館裏に隠れていた愛花がこっそり出てくる。
なぜか赤面し、口元を手で覆っていた。
「みお……」
「君は何をしているんだ?」
「やっぱり私の気持ちを……」
「伝えるべきだな」
「待っていてくれ」
「みお……」
愛しそうに澪奈を見つめる愛花。
トップ女優がしていい表情ではない。
「あら、愛花じゃない」
「どうしたの?」
菜月が平然とした表情で後ろから話しかける。
スパイなのか?
「菜月……」
「聞いていたのか……」
「ええ」
「何やら」
「気になる話が聞こえてきたから……」
「相談なんだが……」
「澪奈が誰を好きか」
「探りを入れて欲しいんだ」
「え?」
「なぜ私がそんなことを?」
「面倒ね」
「頼むよ」
「幼なじみだろ」
「君にしか頼めないんだ!」
「はぁ……」
「わかったわ」
「それで何をすればいいの?」
「ありがとう!!!」
「簡単さ」
「澪奈は付き合ってる人はいるのか?」
「好きな人はいるのか?」
「この二つだけさ」
「自分で聞けば良いんじゃないの?」
「それは……」
「何よ」
「笑顔で恋人います!」
「アハハ!とか言われるのがいやなの?」
菜月は愛花が、
言われたくないことを平然と言い放つ。
「探偵でも雇えば良いじゃない」
「それはダメだ!」
「卑怯すぎる」
「彼女のプライバシーも尊重したいし……」
「面倒くさいわね」
「じゃあ今度私が、」
「新垣を勉強会に誘ってみるわ」
「それとなく探りも入れてね」
「本当かい!?」
「ありがとう」
「君はやっぱり優しいね」
「はいはい」
「あなたは最高に……」
「ひねくれた幼なじみを持てて……」
「幸せね」
「もちろんさ」
「感謝しているよ」
「菜月」
「ええ」
「任せておいて」
「結果は保証できないけど……」
菜月は愛花を安心させるために言うが……
この女は自分が澪奈に沼ることを、
まだわかっていなかった。
澪奈はどうなってしまうのか……
最後に
すっかり澪奈は周囲の人間をたらし込み始めました。
菜月さんがどっぷりと澪奈の魅力に抗えずに、
沼り始めて暴走するのはもう少し先です!
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