第四章:水族館デートとか無理!

澪奈と菜月さん! 澪奈と菜月さん!

菜月さんと電車で旅に出てしまったよ!

どこに行くのかは全然わからないけどね!

「菜月さん……」

「そろそろつきますか?」

ウトウトしながら話しかける。

「ええ」

「もうすぐよ」

一時間以上電車に乗っており、

澪奈は眠くなってきた。

田舎の海沿いの街へと電車は進んで行く。

「次で終点ね」

「ここで降りるわよ」

「はい……」

目をゴシゴシとこすりながら、答える。

「少しだけ歩くけど……」

「大丈夫?」

「問題ないです」

「行きましょう!」

「ありがとう」

二人は無人に近い改札を出て、

目的の場所まで歩き始める。

「早く着かないかな」

「もうせっかちね」

「焦らされてばかりで……」

「すぐに着くわ」

十五分ほど歩いて、

巨大な水族館が見えてきた。

「え!?」

「水族館じゃないですか」

「お金足りるかな……」

澪奈は慌てて財布を確認し始める。

「そうよ」

「夕方からは料金が安くなるの」

「私が払うから」

「安心してちょうだい」

「そんな悪いですよ」

「気にしないで」

「アルバイトもしてるし」

「あなたのためだから」

慈愛に満ちた優しい表情を浮かべている。

「ううう……」

「情けないです」

「じゃあ一つだけ……」

「言う事何でも聞きます」

私にできることは……

これくらいしかないんだ!

この発言が後に大変な事態を巻き起こすのを、

澪奈はまだ知らない。

「っ……」

「そういうことは……」

「簡単に言わない方がいいわよ」

「さあ、チケット買って」

「楽しみましょう」

「わーい!」

「ありがとうございます!」

菜月の手を握ったまま、

小躍りし始めた。

「あなたね……」

「まあいいわ」

菜月は呆れつつもチケット販売窓口へ向かう。

「いらっしゃいませ」

「何名様でしょうか?」

受付の女性が朗らかな笑顔で対応する。

「アフター四チケット二枚ください」

「もしかして……」

「お二人はカップルでしょうか?」

「そしたらカップル割引が適用されます」

「え……」

菜月が戸惑っている間に……

澪奈は余計なことを言い始める。

「はい!」

「カップルですよ!」

「今日が付き合い始めて、」

「最初のデートになります!」

「ちょ……」

「新垣……」

「そうなんですか!」

「おめでとうございます!」

「カップル割引適用させて頂きますね」

「あとはなんとお客様たちが、」

「来場者百万人目ということで……」

「水族館内のホテルやレストランも、」

「無料でご招待します!」

「本当ですか!?」

「やりましたね!」

「菜月さん!!!」

目がキラキラと輝き、

大声で叫び散らす澪奈であった。

この水族館はどういう経営方針なんだ。

マーケティング戦略がおかしくないか……

「この特別なリストバンドをどうぞ」

「すぐに対応してくれます」

ピンク色の可愛いジンベエザメが、

プリントされていた。

「ありがとうございます……」

「じゃあ行きましょうか……」

「あなた」

二人は恥ずかしそうに、

お互いの手首につけあう。

「いってらっしゃいませ!」

「末永くお幸せに!」

完全にハネムーンのような言い方だ。

「なんだかとんでもないことに……」

「なってしまったわね……」

菜月は少々ゲンナリしてしまう。

「今日はお泊まりして帰りましょう!」

「全部無料ですよ!」

「ええ……」

「わかったわ……」

「はぁ……」

今度は澪奈が菜月の手を引いて、

水族館の中に入っていく。

「すごい!!!」

「魚のトンネル通路だ!」

はしゃぎながら、

湾曲した水槽の前で騒いでいる。

「綺麗ね……」

水槽を見つつも、

はしゃいでいる澪奈に、

目線が向いてしまう。

「何回かきたことあるんですか?」

「ええ」

「昔に何度か……」

「さすがですね!」

「菜月さん!」

満面の笑みを浮かべている。

「奥の水槽もすごそう!」

「ジンベエザメが五匹もいるらしいですよ!」

「早く見たいな」

「行きましょうか」

「はい!」

二人は恋人つなぎにして、

奥の巨大水槽に向かう。

「大きい!」

澪奈の感想は当たり前だろう。

幅四十メートル、高さ十メートルの超巨大水槽だ。

ジンベエザメ、オニイトマキエイ、その他大量の魚たちが、

悠々自適に泳ぎ回っている。

「何度来ても……」

「圧巻ね」

「飛び込んで泳いでもいいですか?」

「どうぞ」

「サメに食べられてもしらないわよ」

「そんなこといって……」

「いざとなったら助けてくれるんでしょう?」

「しらないわ」

「あなたが食べられてる姿をみて」

「高笑いしてるかもね」

意地悪そうに笑う。

「もう……」

「ツンデレなんですから!」

「あなた……」

「その言葉の意味わかってる?」

「菜月さんみたいな人のことを、」

「言うんですよね!!!」

「はぁ……」

「違うと思うわ……」

澪奈よ、クーデレの間違いじゃないか?

「えへへ」

「この際、何でもいいですね」

「まったく笑えないわ」

「え!?」

「サメの館があるんだ!」

「行きたい!」

「どうしたの?」

「ダルマザメの飼育と餌やりがあるみたいで!」

「あとはサメダンスが楽しめる特殊水槽も!」

「あっ……ごめんなさい……」

凄まじいテンションの高さで、

菜月は気圧されてしまう。

「そんなに人気なの?」

「行ってみる?」

「はい!!!」

「菜月さん!」

こうしてジンベエザメと別れを告げて、

サメの館に向かう二人。

そしてサメダンスとは一体何なのか……

危険な儀式にしか思えない。

最後に

今回はついにデートが始まりました!

幸せな二人を見届けてくださいね。

次回からサメがやたらと出てきます!

お楽しみに!

コメント

タイトルとURLをコピーしました